ï¼ç£¯ã»å ¤é²ï¼ã§é£ããéã®é£éå¥ã®æ»ç¥æ å ±ãæ²è¼ãé£ãããéã®çæ ãé£ãæ¹ã仿ãããã°ãæ¹ãªã©ã®æ å ±ã¯ãããããã§ãã¯ãHondaé£ãå¶æ¥½é¨ã¯ããé£ãã§éã¶ãHondaã¨éã¶ããããã¼ãã«ãHondaãé£ããæããæ¹ã ã«ãå±ãããWebãã¬ã¸ã³ã§ãã ã£ã¼ããã¯ã»ãã¼ã ãºã»ã¯ã©ã BHLï¼The Black-Headed Leagueï¼é»é«ªé£çâ¦â¦JSHCã§æåã«ã§ããæ¯é¨ï¼ ã®ä¸é¨ã»å°ç¬ å諸島ãªã©ã«ç§»å ¥ããã¾ããã é¦ãä»ã®ããé¡ã®ããã«ãã³ãã¦ããããç®ãé常ã«å°ããã¨ããç¹å¾´ãæã¡ã¾ããä¸è¦ããã¨ãããºã«ãã£ããã§ãã ã¡ã¯ã©ããã®ä»²éã¯ãæ©ãææã«ä»ã®ããé¡ããåå²ããåå§çãªç¹å¾´ãæ®ããªããç¬èªã®é²åãéãã¦ããã¨èãããã¦ãã¾ãã ç§»åããæã¯è ¹ã®é±ãå°å»ã¿ã«åãããªããä½ãããããã¦åé²ãããè´è¦ã¯ãªãããéåã«å¯¾ããæå¿åãå è¦ã¯ææãåµçã¾ãã¯åµèçãããºããã«ã¨ã«ãªã©ã®å°åç©ãæé£ããé³¥ã®åµãé£ã¹ããä¸é¨ã®ç¨®é¡ã¯çããæ¯ãåºããåã¾ããã¨å½ã«é¢ããçæ¯ãæã¤ç¨®ãå°ãªããªãï¼ãæ¯èãï¼ã æ®ã©ã® ⦠¥ãããå¥å¦ãªéããã£ããã¨ã, æçµæ´æ° 2020å¹´9æ20æ¥ (æ¥) 23:38 ï¼æ¥æã¯. ã¸ã¥ãªã¢ãäºãæ®ãããã¾ã ãã®ç´ãã¨ã¯ãèã®ãã¨ã ã£ãã¨æ¨çãã訳ã ã ãã¼ã ãºã¯ãã¬ã³ããã£ããã¨é¨å±ããåºããã¯ãã½ã³ã¨äºäººã§è¦å¼µããããã æ¡ã®å®ãèãç¾ããã®ã§ããã¼ã ãºãã¹ãããã§èãå©ãã¨ãèã¯é風å£ã«éã帰ã£ã¦ããã 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今回は今年の秋にかけての新作(注目)パスティーシュを紹介したい。自費出版サイトとAmazonのおかげで雨後の竹の子のごとく繁殖した出来の悪いパスティーシュでなく、ちゃんとした出版社とちゃんとした編集者が出す書籍だ。もちろん、評価は読者それぞれの好みによって変わると思うが。, まずは、かのオットー・ペンズラーがついにホームズ・パスティーシュ・アンソロジーを編んだ。古典から新作まで短篇83作を盛り込んだ928ページにわたる超大作だ。ウッドハウスやO・ヘンリーのようなクラシック作家、ローリー・キングやダニエル・スタシャワーなどのホームズもの作家、そしてアン・ペリーやスティーヴン・キング、ニール・ゲイマンといった現代ミステリ作家の作品まで入っている。, 実は今年1月のBSIウィークエンド(NY)でペンズラーの書店に寄ったとき、いつものように地下の「内輪客用」本棚を漁っていたら、この本のゲラ(あるいはマニュスクリプト)が置かれているのを発見、ちらっと垣間見たのであった。あとで本人に聞くと、2016年刊とのことだったのだが、今年10月刊に早まったらしい。もし日本で出すとしたら、問題は既訳の古典も多いという点だろう。いや、古典でなくても、この手のアンソロジーの場合、現代作家の既訳が入っていることもよくある。分厚さも問題だが……。, アメリカの伝説的バスケットボール選手、カリーム・アブドゥル=ジャバーが映画脚本家と組んで書いた長編パスティーシュ。超有名人とあって、今年1月に刊行を発表したとき、『ニューヨーク・タイムズ』や『ニューヨーカー』に記事が載った。彼いわく、「NBAのルーキーだった40年以上前に初めてホームズものを読んで、人の見えないところに手掛かりを見つける彼の能力に魅了された。その観察力はバスケットボールのゲームにも応用でき、私を優れた選手にしてくれた」。ふ〜む。そうは言ってもねぇ。小説を書くのは初めてで(自伝とスポーツ関係の本はある)、共著者が映画の脚本家兼プロデューサーってんだから、なんともはや。いや、だからといって面白い作品にならないとは言えない。まずは読まなくては。若き日のマイクロフト・ホームズを主人公としたこの長篇、どこまでホームズファンやミステリファンに受け入れられるのか。楽しみだ。, ちなみに、やはりというか、今年1月のBSIディナーに彼も正体されて出席していた。2メートル18センチという身長はアメリカ人の中でも図抜けていて、しかも数少ない黒人なので、非常に目立っていた。, 三つ目はハリウッドで長年映画の脚本から俳優、監督まで幅広く活動し、ドキュメンタリー脚本でエミー賞もとった女性の、初長篇ミステリ。彼女も二、三年前からBSIで会っており、去年別の出版社からこの作品を出すと聞いていたのだが、版元を大手に変えて刊行することになったらしい。今年の1月にSHSLディナー(ロンドン)で会ったとき、ハーパーコリンズから出すのだとうれしそうに言っていた。, 1888年暮れ、切り裂きジャックを追うのに疲れ果てたホームズのもとに、フランスから美人歌手が依頼にやってくる。美術コレクターである伯爵とのあいだに生まれた息子が、失踪したというのだ。フランスへわたるホームズとワトスンは、事件の裏に国際的な美術品強盗の陰謀が隠されていることを知り、さらに大がかりな展開となっていく……。, どこまで読ませるものになるか。上の作品同様、最近は映像関係のライターがホームズ・パスティーシュを書くケースがかなり増えているが、手ごたえあるものを期待したい。, http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1472135776/honyakumyster-22/, 最後は知る人ぞ知るアンソロジスト、マキシム・ジャクボウスキーの新アンソロジーだ。これまた、かの有名な“Mammoth book”シリーズのひとつとして、「モリアーティしばり」の短篇集となる。このシリーズということは、おそらくオリジナル(書き下ろし)パスティーシュばかりのはず。592ページは前出のペンズラーのアンソロジーと比べると薄く感じてしまうが、相当な分量のはずだ。, 書き下ろしアンソロジーといえば、この2年ほど、SFやファンタジーの作家が書いたホームズ・パスティーシュのアンソロジーが増えている。スチームパンクをテーマにしたホームズもの長篇も続いており、そのあたりの新たな(?)流れは、いずれどこかで書かなければならないだろう。実は小川隆さんのサイトで最近のスチームパンク・ホームズの流れを書くことになっているのだが、どうにも時間がとれずにいて……ああ、不義理ばかり。, 1954年千葉市生まれ。翻訳家(主に英→日)、時々ライター。ミステリ関係の仕事からスタートしたが、現在はエンターテインメント小説全般のほか、サイエンス&テクノロジー、超常現象、歴史、飲食、ビジネス、児童書までを翻訳。2014年は旅行が多く仕事が滞りがちだったが、2015年は果たして汚名返上なるか?, 個人サイト(いわゆるホームページ)を構築中だが、家訓により(笑)SNSとFacebook、Twitterその他はしない方針。, The Mammoth Book of the Adventures of Moriarty, 挟名紅治の、ふみ〜、不思議な小説を読んで頭が、ふ、沸騰しそうだよ〜 略して3F【読書日記】, 犯人/悪役……グリムズビー・ロイロット博士(ヘレンとジュリアの義父、医師)、沼毒ヘビ(ロイロットの飼いヘビ。殺人の凶器役), 実際には登場しない人物……ファリントッシュ夫人(「オパールの頭飾りに関する事件」でホームズに助けられたことのある女性)、ストーナー少将(ベンガル砲兵隊。ヘレンたちの父、故人)、ストーナー夫人(ヘレンたちの母、故人)、ホノーリア・ウェストフェイル(ストーナー夫人の妹)、海兵隊の少佐(ジュリアの婚約者)、パーシー・アーミティジ(ヘレンの婚約者)、インド人の使用人頭(ロイロットに殴り殺された)、ストーク・モーランの鍛冶屋(ロイロットに川へ投げ込まれた)、ロマの一団, 事件冒頭でヘレン・ストーナーに関して行うホームズの推理(ドッグ・カートで泥道を長く走ってからけさの汽車で来た), スタンフォード大学の研究サイト“Discovering Sherlock Holmes”にある『ストランド』版への注釈では、ベイカー街にロイロットが現れる直前にホームズがワトスンに話して聞かせるくだり——「夜中に口笛が聞こえたこと、博士と親しいロマの一団がいたこと、……(中略)……以上の事実をつなぎあわせれば、謎に対するひとつの説明になるんじゃないだろうか」というせりふから、その説明には無理な点があるというワトスンの指摘に対して「その無理な点が致命的なものか、あるいはなんとか説明のつくものなのかを確かめたいんだ」と答えるところまでについて、こう評価している。, 「こちらは親友で、仕事上の相棒でもあるワトスン博士です。彼のまえでは、ぼくと同様、どんなことでも気がねなくお話しください」(ヘレン・ストーナーに), 「暴力は暴力の報いをうけ、ひとを陥れようと穴を掘る者は、みずからその穴へ落ちるというわけだ」(『旧約聖書』「伝道の書」第10章第8節および『旧約聖書』「箴言」第26章第27節のアレンジ), 彼(ホームズ)は金をもうけるためでなく、探偵としての腕をふるいたくて仕事をしていたので、異常なできごとや奇怪な進展を見せそうなものでないと手をつけなかった。, ヘレンと許されざる交際をしていたホームズが、その障害を取り除くためロイロット博士を殺した(ロイロットは求婚者を脅かしていただけだった)。, ヘレンが犯人であり、この事件記録はモリアーティがホームズの信用を貶めようとした計画であった。, ホームズはヘレンがジュリアを殺害し、さらにロイロット博士を殺害するのを、幇助した。, ヘレンは、逆上したロイロット博士をワトスンが正当防衛で撃ち殺してしまうという筋書きを描いていた。, 遺産をねらったヘレンが自室に蛇を隠しておき、紐を伝わせてロイロット博士の部屋に侵入させて殺害した。, ロイロット博士が財産目当てで妻を殺害してから、彼と義理の娘たちは反目した結果、毒殺による殺し合いとなった。ヘビはホームズが事件を隠蔽するために偽装工作として使った。, グリムスビー・ロイロット博士はヘレンとジュリアの義理の父ではなく、本物の父親であった。, ジュリアの身体を調べた医師が何も発見できなかったのは、ヘビに噛まれなかったからだった。つまりロイロットはヘビを使わなかった。, ホームズがステッキでヘビをたたいたとき、ワトスンは何も診ていない。呼び鈴の綱にヘビなどいなかったのだが、ワトスンは言えなかった。, 実は、ロイロットは性的関心により義理の娘の部屋を覗いていただけだった。ヘレンの部屋からの物音に驚いた彼は、手にしていたヘビを放してしまい、無実を証明する前に心臓発作で死んでしまった。. ã«ãã£ããã§ãã±ã£ã¨è¦ã ã¨ã©ã¡ããè¦åããã®ã¯é£ããã§ãã ¨ã®æ¯æ²çã§ãã ã 1910å¹´6æ4æ¥ã«ãã³ãã³ã®ã¢ãã«ãã£åå 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ジュリアとヘレンのストーナー姉妹は、亡くなった母親の再婚相手である医師のロイロット博士と一緒にインドから帰国し、サリー州にあるロイロット家の屋敷に住んでいた。母親の遺産はすべてロイロットに譲られ、姉妹は彼の管理のもとに暮らしていたが、彼女らが結婚すれば毎年一定額の金をもらえることになっていた。, もともと気性の激しいロイロットは、ロンドンでの開業をあきらめてサリー州に戻ってから、さらに凶暴になり、村の厄介者とみなされていた。つきあう相手は屋敷の敷地に野営させているロマの一団くらいしかいず、インドから取りよせたチーターとヒヒを庭で放し飼いにしていた。, その後、姉のジュリアは海兵隊の少佐と婚約したが、結婚まで二週間というころ、不可解な事件が起きた。ある夜、ジュリアの悲鳴に続いて、低い口笛と重たい金属が落ちるような音が聞こえたため、ヘレンは隣の部屋に駆けつけた。寝室からよろよろと出てきた姉は、右手にマッチの燃えさし、左手にマッチ箱を持っている。そして「まだらのバンドが!」ということばを残し、意識を失ってしまった。義父ロイロットも反対隣の部屋から飛び出してきたが、ジュリアはしだいに衰弱して死んでしまう。, 遺体に外傷はなく、毒物も検知されなかった。しかも部屋は内側からカギがかかっていて、窓は太い鉄棒の鎧戸、煙突は大きな壷釘でふさがれているという、一種の密室だ。「バンド」という言葉が庭にいたロマの一団【バンド】のことなのか、何かの紐【バンド】のことなのかも、わからなかった。, それから2年、今度はヘレンが結婚することになった。ところが、屋敷の工事の都合で、姉のいた部屋、つまりロイロットの部屋の隣で寝ることになる。そこへ、またしてもあの口笛の音が。ぞっとしたヘレンは、夜明けに屋敷を抜けだしてホームズのもとへ相談に来たのだった。, ところが、相談を終えたヘレンがベイカー街を去るのと入れ替えにやってきたのは、当のロイロット博士だった。ヘレンのあとをつけてきた博士はホームズを脅しにかかるが、当然のことながら無駄に終わる。, その日の午前中、登記所に行ったホームズが突きとめたのは、当初千ポンド以上あったヘレンたちの母の年収が相場の下落で750ポンド以下となっていること、そして姉妹が結婚したら博士は年に250ポンドずつ払わねばならないということだった。, 夕方までサリーへ戻らぬロイロットの留守をねらって、ホームズとワトスンは屋敷の調査をすることになる。ヘレンの部屋、つまり亡くなったジュリアの使っていた部屋は、確かに説明どおりだった。しかし、家政婦の部屋へ通じているはずの呼び鈴は、引き綱を引いても鳴らなかった。その引き綱がくくりつけてある通風口は、外でなく隣の部屋に通じている。そして、床板に釘付けにされたベッド。博士の部屋も質素なものだったが、大きな鉄の金庫とその上に載ったミルクの小皿が不可解だった。, すでに謎を解いたらしいホームズの要請は、ヘレンと入れ替わって彼とワトスンが彼女の部屋でひと晩過ごすことだった。, まっ暗な寝室でひたすら待ちつづける2人。朝の3時を過ぎたころ、突然通風口の方角で光がさして消えた。続いて金属の焼けるにおい。30分後には沸騰したヤカンの蒸気のような音。そのとたん、ベッドの端に座っていたホームズが飛び起きてマッチをすり、ステッキで呼び鈴の綱をめった打ちにした。, その少しあとから聞こえてきたのは、男の恐ろしい悲鳴だった。隣のロイロットの部屋へ行くと、そこにはドレッシングガウン姿の博士が、天井をにらむようにして座ったまま息を引き取っていた。額には褐色の斑点でまだらになった紐【バンド】、つまりヘビが巻き付いている。博士はこの猛毒のヘビを操ってヘレンを殺そうとし、ホームズに打たれて戻ったヘビに逆に噛まれてしまったのだった。, 早朝にベイカー街を訪れた依頼人、ヘレン・ストーナーは、姉のジュリアが謎の死を遂げたときと同じ口笛が夜中に聞こえたため、サリー州からやってきたのだった。姉妹の母親は再婚相手の医師ロイロット博士に全財産をゆずったあと、鉄道事故死していた。, その財産は年に千ポンドという収入を生むが、姉妹が結婚したらそれぞれに年250ポンドを払わねばならない。ロイロットがそれを阻止しようとするのは、「花婿の正体」事件のときのように明らかだった。, 「凶器」はインドから取りよせた猛毒の“沼毒ヘビ”。しかもミルクを飲み金庫で生活し、口笛で言うことをきくという、驚くべき存在である。姉ジュリアの結婚が近づくと、ロイロットは夜中に隣の自室から彼女の部屋へ、通気口を使ってそのヘビを放ち、うまく噛みついたところで口笛によって呼び戻した。部屋は内側からカギがかかっていたので、殺人かどうかの決め手がないまま、迷宮入りしてしまう。, 次に妹の結婚が決まったときもその手を使ったのだが、放ったヘビが必ず噛むとはかぎらない。口笛に気づいたヘレンが相談に来たことで、ホームズは現地へ赴いた。彼は密室殺人の謎を解いただけでなく、ヘレンの部屋に来たヘビをステッキでしたたか打ったため、ロイロットが“飼いヘビ”に噛まれて死ぬという結果になったのだった。, 「このくだりを読むと、ホームズの整然とした仕事の進め方がよくわかる。彼は事実を手に入れる前に理論付けしてしまうことを避けながらも、今あるわずかな事実のひとつ、つまり金物の落ちるような音を説明するため、鎧戸の鉄棒がもとのところにはまりこんだ音かもしれないという理論を組み立てる。しかしロマが何かをしたかしなかったかという、それ以上の憶測をしようとはしない。ホームズが試行錯誤の末しだいに真実へ近づいていくことがサスペンスを盛り上げ、読者の興味を高めていくのである」, コナン・ドイルのオリジナル原稿では、ジュリアとヘレン姉妹の名字はロイロットとなっていた(オックスフォード大学版全集のリチャード・ランスリン・グリーンによる注釈)。また、コナン・ドイル自身、この作品がお気に入りで、1900年にすでにそれを公言していたが、1927年に自選12作を選んだ際も第1位に挙げている。, なおドイルはこの「まだらの紐」を自身の手で戯曲にしており、かなりの人気を得た。その脚本は現在、正典でなく「外典」扱いになっている。, 【右:今月の画像(2)】Leslie Klinger編The Illustrated Speckled Band (1910年の戯曲), 後述するように、この作品に対しては、非常に多くの疑問点が提示されている。だが、そんなことに関係なく子どもから大人まで人気の一作となってきたのも、周知の事実である。これまでにも書いてきたことだが、ホームズものに現代ミステリの基準を当てはめるのは、無理があるのではないだろうか。120年以上前に『ストランド』を読んだ人たちが、どう面白がったのかを考えるべきだろう。そもそもホームズの“推理”自体、強引なものが多い。ところが読者がそれに驚かされ、論理的な謎解きと科学的知識による探偵を礼賛したのは、ドイルの書き方のうまさに負うところが多いと思う。, ただ、ドイルが書いていた時期にも読者から誤りの指摘はあったわけであり、「名馬シルヴァー・ブレイズ」の競馬問題をはじめ、アバウトな筆のドイルが当時から責められていたことも、また確かである。多少の破綻があろうと、謎の提示と雰囲気作りやストーリーはこびのうまさ、それにホームとワトスンのコンビの魅力で、払拭してしまう……ひょっとすると現在の人気作品にも、そういう傾向があるかもしれない。, ところで、この「まだら」と同じ「ホームズが早朝にワトスンを起こして事件が始まる」パターンとしては、「アビィ屋敷」が有名だろう。こうした事件の始まり方は、それだけで魅力的とも言える。また、「ホームズとワトスンが不寝番をして犯人の出かたを待つ」というのも、「赤毛」以来の人気パターンだ。, とはいえ、シャーロッキアンは手を抜かない。たとえばジェイムズ・ホルロイドは、依頼人のヘレンが急いで到着したことを知っていたのなら、なぜホームズはワトスンを起こす前に着替えなどして時間をむだにしたのだろう、という疑問を呈している。いつものドレッシングガウンでいいだろうし、若い女性相手だからということなら、ワトスンを起こすのはハドスン夫人にまかせればよかったのではないか、と。, だが、ホームズは急ぎの客が女性と知ってまず着替え、そのあとでワトスンにも知らせようと思いついた……ということはないだろうか。この次の作品である「技師の親指」を見ると、ドレッシングガウンで客を迎えることもよくあったようだが、やはり若い女性が相手の場合は違うのかもしれない。また、ホームズのせりふ「けさはみんな同じ目にあっているんだ。まずハドスンさんがたたき起こされ、彼女がぼくを起こしてうっぷんをはらし、最後にぼくがきみを起こしたというわけだ」を見ると、着替えたあとに自分のうっぷんをワトスンではらしたくなったのだという可能性も、なくもない。, 「一、二カ月して結婚しましたら自由になるお金ができますので、相応のお礼をさせていただきます」と言うヘレンに、ホームズは「ご都合のいいときに実費だけお支払いいただくことでかまいません」と答えた。しかしその少しあとで、ヘレンはさらに「母はかなりの財産持ちで、年に一千ポンド以上の収入がありましたが、それをそっくりロイロット博士にゆずってしまいました。ただし……(中略)……もし結婚したら、毎年一定の額のお金を二人とも(ロイロットから)もらうという条件になっていました」と続けている。, 一方、その日の午前中に登記所へ行ったホームズは、死亡当時の母親の(投資物件による)年収は1100ポンド近くあったが、農産物の価格(2015/07/01 08:09時点)低下で750ポンド足らずになったこと、姉妹は結婚したらそれぞれ年に250ポンドずつをもうらう権利があることを、調べてきた。, つまり、姉ジュリアとロイロットが死んだいま、ヘレンは年に750ポンド弱の収入を得た。「抵当でがんじがらめ」とはいえ、屋敷と土地があるのだから、ホームズにはたっぷり謝礼をしただろうと考えられる。しかも、ロイロット自身の年収は約1450ポンドあったはずだという計算をした研究者(Lionel Needleman)もいるくらいなので、それを相続したヘレンは、かなり裕福だったのではなかろうか。, そうしたことから、シャーロッキアンの中には(もともと刺激の強い突飛な説を出せばいいと思っている輩も多いせいか)、最後に財産を独り占めしたこのヘレンが真犯人だったという説をとなえる人も多い。こうした異説の応酬については、あとの項目で述べることにする。, ただ、厳密には「独り占め」でなく、ヘレンには予備役で棒給が半分になっていた婚約者がいたので、結婚後は彼もこの屋敷に住んだであろうと思われる。, さらに言うなら、「まだら」の事件記録の冒頭でワトスンは、「(内密にしておくという)約束をかわした婦人が先月急死した」と書いている。つまり、『ストランド』にこれを発表した1892年2月の前月、1892年1月に、ヘレンは死んでしまったということだ。事件から9年後、ロイロット家とストーナー家の財産はすべて、夫のパーシー・アーミティジに渡ったと考えられる。, 資料篇でお気づきと思うが、明治・大正期は、「毒蛇」をタイトルに使ってしまう完全ネタバレ題名が多かった。現代の邦題「まだらの紐」にしても、厳密な意味ではネタバレに近いという意見がある。ジュリアのせりふにある「バンド(band)」が「紐、ベルト、帯」と「群れ、一団、楽団」の二つの意味をもつため、読者はタイトルだけではどちらなのかわからず、ホームズも当初は迷うことになるのだから、それを最初から「紐」としてしまうのはまずいというわけだ。, こうした二重の意味をもつ語がタイトルの場合、邦訳として対応できる手法としては、(1)原語そのままのカタカナを使う(「まだらのバンド」)。(2)日本語にしてカタカナのルビをつける(例「まだらの紐【バンド】」)。(3)まったく違う題名にする(例「死を呼ぶ口笛」)。などがある。, しかし「まだらの〜」はやはりタイトルに使いたいので、(3)は除外しよう。さらに実際問題として、「まだらのバンド」を邦題にするのは無理がある。したとしても、日本の読者がカタカナ表記の「バンド」から連想するのは、ほとんどが腰に巻くベルトであろう。バンド=紐という発想はあまりないし、「まだら」という語からは「楽団」を想起するのも難しい。, 残るは(2)だが、タイトルに「バンド」というルビが振ってあったとして、いったいどのくらいの読者が「紐」と「一団」の二重性を考えるだろう。読者としては、ジュリアがダイイングメッセージとしてその言葉を吐いたとホームズが聞くとき、(ルビによって)彼女の言う「バンド」には「紐」と「一団」の二つの意味があるのだとわかれば、それほどの問題はないのではなかろうか。英語で読む読者は「まだらの紐」と「まだらの一団」の両方を頭に置くとしても、日本人読者は最初に「まだらの紐」と聞いて、いったいどんな紐なのだろう、「まだら」というところに意味があるのだろうか、と頭をひねる。それでもけっこうな謎である。さらにジュリアのメッセージの段になって、「バンド」の二重の意味をヘレンが言っているくだりを読めば、ホームズの迷いも共有できるのではないだろうか。, 「報酬/事件後の可能性」の項目で触れた、シャーロッキアンたちの異説を書いておこう。ただ、ひとつひとつを説明すると長くなるので、結論だけを列挙するにとどめたい。どうしても気になる方は、ちくま文庫のホームズ全集や Leslie Klinger 編の The Sherlock Holmes Reference Library など、シャーロッキアンの説が載っている正典を参照されたい。, いかがだろう。さらに、前出の Lionel Needleman はこう説いている。, さらに言うなら、ロイロットは最初から財産を独り占めできたはず、という考えもある。1882年に「既婚女性財産法」が変わるまで、英国では夫が妻の全財産を管理することができた。そしておそらく娘たちに毎年250ポンドを支払うという妻の要求も、無視することができた。とすれば、殺人や殺人未遂などを犯す必要はなかったというのだ。, これはF.
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